トリマーの選び方
公開日:
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最終更新日:2016/06/25
DIYをするなら是非とも持っておきたい超有用な電動工具の1つがトリマーです。
世界中で愛用されているトリマーを使いこなせれば、装飾加工はもとより、溝加工やホゾ作り、そして彫刻や造形トレースと言った極めて高度な使い方まで可能なのです。
素人では真似のできないプロ並みの技を素人でも可能とするかもしれないトリマーで、一歩も二歩も進んだDIYをしてみましょう。
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電動トリマー

電動トリマーとあえて付けるのは、犬の美容師さんではないからです。。英語での表記ではTrimmerとなります。
トリマーとは
トリマーとは電動工具の1つで、溝切りや装飾と言った素人では加工の難しい木工技術を素人でも可能にすることができる切除工具のことです。
極めて汎用性の高い工具でその用途は多岐に渡ります。もちろん、素人がプロ並みの加工をするための便利ツールというわけではありません。プロも使う工具です。
似たような工具にルーターというものがあります。
ルーターとの違い
ルーターといっても通信装置ではありません。トリマーと同形状で大型の工具をルーターと呼びます。
ルーターはトリマーと比べると数倍のパワーを持ち、よりパワーの必要な複雑な形状の加工を可能とします。
トリマーのメリット
トリマーのメリットはその小型さによる扱いやすさです。片手だけで扱うこともできるスリムな形状と、軽量なボディにもかかわらず、多種多様な加工ができるのです。
DIYレベルで必要とされる加工のほとんどはこのトリマーでカバーできると思います。
トリマーのデメリット
トリマーは小型ゆえにパワーはそれほどありません。それほどないと言っても1HP(1馬力相当)以上のパワーがある機種もあるので、決して非力というわけではありませんが、比較対象となる大型のルーターと比べるとパワー面で大幅に劣るという事です。
溝切りや複雑な装飾、ジョイント加工には、強力なパワーが必要となります。硬い木を一気に大幅に削ることになるので、そういった加工はトリマーでは荷の重い仕事なのです。
対象者
トリマーを購入しようかと悩むDIY’rの対象者レベルは、中級者以上だと思います。
扱い方さえ間違えなければ素人でも初心者でも、加工するのは可能ではありますが、ある程度以上電動工具に親しんで、使い慣れていないと危険な工具です。
トリマーは2~3万回転という超高回転・低トルクで削る加工機械です。鉄のように硬い木もその取り付けたビット形状に削る訳ですから、扱い方を間違えたりすれば極めて危険な凶器になります。
他にもDIY初心者には敷居が高いと思える要素も無視できないほど数多くあります。
費用面で敷居が高い
もっとも気になるのはトリマーの使う上で掛かる費用です。本体だけでもそれなりにしますが、その他にも必要な物が多々出てくるのです。
本体の価格
トリマーの本体自体も、数千円台~1万円以下の機種もありますが、高性能な機種は2万円程かかったりもします。
オプションの価格
また、トリマーは付属のオプションを取り付けて使うことで、飛躍的に加工可能な範囲や精度が上がります。そういった周辺の装備を揃えるにもそれなりに費用がかかります。
ジグの価格
複雑な継ぎを可能とするジグはとても有用なのですが数万円くらいと高価だったりします。
ビットの価格
トリマービットもそれなりの物を揃えだすと本体以上にお値段がかかります。1本数千円するトリマービットもけっして珍しくはなく、ドリルドライバーなどのビットとは比較にならないほど高価な物も多いのです。
運用面で敷居が高い
トリマーの敷居の高さは費用だけではありません。購入して実際に使い出した際にも、敷居の高さを感じるものが多くあります。
大量の粉塵が発生する
トリマーで加工する際には、その取り付けたビットの形状に木材が削られます。その削られた木材は全て粉々の細かい粉塵となるのです。この粉塵は非常に細かい粒子で吸い込むと体によくはありません。
何年も吸い続けていると塵肺(じんはい)と言った深刻な疾患になってしまったりもするのです。その為、そうならないための対策として、防塵マスクは必須です。また、目を保護するための密閉型の安全メガネや、大型の集塵装置も必要不可欠となっていきます。
かなりの騒音が発生する
電動工具を扱う以上騒音問題は切っても切り離すことができません。超高回転するモーター音も甲高く響きますが、加工時にはかなりの騒音が発生します。
危険性の高い工具
取り付けるビットは超硬ビットが多いです。これはタングステンと言った非常に硬い素材が使われています。その鋭い刃物が数万回転もするのですから危険性が高い工具というのは分かりやすい事実です。
一度手にしたら手放せない
購入した後に後悔しないように、購入する前に是非とも知っておいて欲しい負の面もあえて忌憚なく書きましたが、トリマーはそういった負の面を持ってしても余りあるほど極めて有用な工具です。
トリマーは言わば大工さんの七つ道具の1つであるノミの代わりになると言ってもいいくらい、汎用性が高いものです。
もちろん、別の道具であるので、トリマーがあってもノミを使いこなせることに越したことはありませんが、高い技術の必要な手工具を極めるよりははるかに手軽に、様々な加工ができるようになります。
ただ、トリマー自体も習熟度や使い方によって、加工できる範囲には天と地ほどの差があるので、極めようと思えば容易な道ではない事は確かです。
用途で選ぶ
週末だけの日曜大工で使うのか、仕事や趣味で毎日のように使うのかでも選ぶ機種は変わってきます。
また、自分の必要とする加工にはトリマーを選ぶべきか、ルーターを選ぶべきかも判断しなければなりません。
電動工具はプロ用とDIY用とで製品を明確に分けているメーカーもあります。大抵の場合、色で区別しています。
製品ごとではなく、DIY用を専門とするメーカーも存在します。
プロ用
基本的にプロ用は耐久性が高く作られています。毎日のように使用され、酷使される事が多いわけですから、それだけパーツも消耗します。
当然のことながらプロ用の方が高性能で、価格も高くなります。素人でもプロ並の頻度で使用するならば、高くともプロ用を選択した方が無難です。
プロ用の製品に求められるのは、性能のみならず、パーツ等の交換といったメンテナンス性に優れているか?というのも重要な判断材料となります。
DIY用
DIY用は耐久性がそれほど求められているわけではないので、その分パーツ等のコストダウンが図られている事が多いです。その為、DIY用はプロ用と比べると価格も安く、パワーなどの性能面でも劣る事が多いです。
しかし、使用頻度が週1や月1程しかないような場合、高耐久性のプロ用を揃えた方いいとは限りません。パワーが大きければ効率の良い作業ができる反面、素人では扱いに苦労する事にもなりかねません。
機能で選ぶ
多くの有効な機能があれば、安全性が向上したり、加工できる範囲が広がり、より柔軟な創作活動を行う事ができるようになります。
トリマーやルーターに搭載されていると便利な機能等について見て行きましょう。
ソフトスタート機能
ソフトスタートは、その名の通り起動時の回転数が徐々に加速されます。その為、起動時の反動が少ないので初心者はもとより、安全に加工がしやすくなる機能です。ただ、この機能は比較的高価な機種にのみついている機能でもあります。
電子制御機能
トリマーの回転数は基本的に固定のものが多いです。しかし、材を加工する場合、節などの硬い箇所で負荷が高ければ回転数が落ちてしまいます。しかし、この電子制御機能付きの機種はその回転数を一定に抑えるように機能するため、一定の回転数による加工が可能となります。その為、加工面が綺麗に仕上がるプロ必須の機能とも言われています。ですが、この機能も比較的高級機種にのみ搭載されています。
変速機能
この変速機能を持つトリマーは非常に少ないのですが、大型のルーターでは標準的に付いている機能でもあります。そして、この回転数を調整できる事で、騒音を抑えたり、焼け付きを抑えたりする事が可能です。
ただし、比較的パワーのあるルーターならともかく、低トルク高回転で加工をするトリマーではほとんどこの機能を搭載する機種は見かけません。この機能もトリマーでは比較的高級機種にのみ搭載されています。
昇降機能付き固定ベース
ルーターでは標準的にセットで販売される固定ベースで、容易にルーターを昇降させる事ができます。トリマーでも一部の機種ではセットで販売されていて、人気の商品でもあります。トリマーやルーター本体とは別のオプション商品で、着脱が可能です。
本体の位置調整機能という意味とは異なりますが、昇降機能が装着できるか否かは、使い勝手に響く重要な要素と言えます。
治具やオプションの充実
トリマーやルーター本体の機能というわけではありませんが、トリマーやルーターは治具やオプションによって使い勝手が劇的に変わります。各社が専用のオプション製品を販売していますが、別メーカーであっても使えるケースもあります。
多くの有用なオプションは、加工精度や加工可能な技術範囲にも大きく影響するので、機種を選ぶときの重要な要素になります。
LED機能
最近の機種にはLEDを搭載している製品もあります。手元や加工する箇所が明るいと作業がよりしやすくなるので、ついてなくてもそれほど問題にはなりませんが、あれば便利な機能です。
メーカーで選ぶ
トリマー本体を選ぶ上での基準などを紹介します。
国内メーカーから選ぶ
国内には数多くの電動メーカーがありますが、その中でも主要なメーカーは限られます。
プロが選ぶメーカー
- Makita(マキタ)
- プロ御用達として知られ、国内に限らず国外でも旺盛に事業展開する電動工具メーカーの雄です。値段も高価ですがそれに見合う高性能な機種が多く、長年の実績がある信頼のマキタです。製品カラーは緑です。
- Panasonic(パナソニック)
- 超一流の企業であるPanasonicは電動工具でもプロユースに耐えられる一級品の製品を販売しているメーカーです。デザイン面も電動工具としては思い切った物が多いです。
- Hitachi(日立)
- 超一流の企業である日立は電動工具でもプロユースに耐えられる一級品の製品を販売しているメーカーです。デザイン面も電動工具としては思い切った物が多いです。
DIY御用達のメーカー
- Ryobi(リョービ)
- プロ用も販売されていますが、主にDIY用の安価なモデルを国内ではほぼ独壇場で販売しているのがリョービです。
海外メーカーから選ぶ
国外には非常に多くの電動工具メーカーがあります。その中でも特に名高いメーカーをご紹介します。ちなみに、私は海外製品のトリマーとルーターを所持しています。
- Bosch(ボッシュ)
- ドイツを代表する電動工具のトップメーカーです。質の高く頑丈な工具を世界規模で販売しています。
- DeWalt(デウォルト)
- アメリカを代表する電動工具のトップメーカーです。質の高く頑丈でコストパフォーマンスの高い工具を販売していて、Makitaとも凌ぎを削っていますが、DeWaltの方が販売実績では圧倒しています。
- PorterCable(ポーター・ケーブル)
- アメリカを代表する電動工具メーカーの老舗です。
- Black & Decker(ブラック&デッカー)
- 主にDIY用の安価な電動工具を販売する世界的な大企業です。老舗であり、多くのメーカーを買収しています。
おすすめのトリマー
どのメーカーの製品も一長一短がありますが、トリマーを選ぶ上で、国や価格を気にしないで、ある程度絞るのであれば、以下のメーカーのトリマーがおすすめです。
- Bosch PMR500
- 国内製品に限るのであれば、DIY用途ならばBoschのパワートリマーは頑丈で、使い勝手が良いと評判です。私も国内トリマーで一番購入しようと迷った製品でもあります。
- Bosch PR20EVSK
- 海外製品であるPR20EVSKはPMR500の上位機種となる可変速機能がある1HP(馬力)のトリマーです。トリマーにおいてはBoschは先駆者で、その代表的なトリマーがこの機種で、私も購入して使っています。
- DEWALT DWP611 1.25 HP Max Torque Variable Speed Compact Router
- 米国電動工具メーカーの雄、DeWaltが2010年に販売した比較的新しいモデルで、私も非常に迷った製品でもあります。1.25HP(馬力)という高出力でLEDも搭載した高性能機種です。
- Makita RT0701C 1-1/4 HP Compact Router
- マキタの海外製品で、2013年に発売した1.25HP(馬力)を持つ高性能なトリマーです。ただし、現在のところ輸入はできないのが痛いです。
- Makita RT0701CX3 1-1/4 HP Compact Router Kit
- Makita RT0701Cに昇降機やオプションを追加したセットで、現在輸入可能な上に、相当お得なセット商品です。
はっきり言って、国内製品に拘らないのであれば、おすすめは全て海外製品です。Boschのみは並行輸入品も載せていますが、円高の時期ならば直接個人輸入するのがベストです。
私がBosch PR20EVSKを購入した当時は89$の販売価格で、1$=80円の時代だったので、送料込みでも1万円程度という恐ろしい激安価格で購入しました。
現在(2016.6.24)の為替は1ドル=103円前後なので、当時よりは高めですが、昨年は1ドル=120円台だったので、今年に入り相当円高になってきているので個人輸入がまたしやすくなってきています。
海外製トリマーのポイント
海外製トリマーを私個人としてはおすすめしますが、海外製品を使うにはそれなりにリスクもあります。色々と国内版とは違う点もあるので安易に購入するのはおすすめしません。
メリットとデメリットをしっかりと把握した上で検討すべきです。
メリット
- 高性能・高機能の製品が国内よりも安く購入することが出来る
- 日本国内では販売されていない、手に入らない製品が購入できるものがある
- 海外製の安価なビットセットや、高品質のビットが選択肢となる
- コレットチャックが6mm仕様のものをメーカーが用意している場合、手に入れる事ができれば国内ビットも使用可能とはなる
デメリット
- 輸入製品を使う場合保証が効かない
- 輸入製品は運任せな面も多く、運悪く不良品をひいても返品はまず諦めるしかない
- 輸入製品は全て自己責任
- 電源仕様が異なるので問題が発生することがある
- 輸入可能なものと輸入不可なものが多々ある、またコロコロ変わる
- 国内の6mmビットが、欧米仕様の6.35mmと異なるので、そのままでは国内仕様のビットは使用できない
問題となる重大な違い
- 電源が米国仕様のため基本電圧は120V、国内は100Vと違いがあるので、ワット数(アンペアxボルト)は少なくなるので本来のパワーよりも出力が出ない
- 米国は電流の周波数が60Hz
- 日本国内の西日本は60Hzなので西日本で使用する場合には、ボルト(V)が120V仕様から100Vに落ちた出力されるが、それ以外は問題がない
- 日本国内の東日本は50Hzなので周波数の違いによる問題が起こる可能性がある
- 60hzの電化製品を50Hzで使用した場合、過剰に電流が流れ過ぎるのでモーターの寿命が縮まったり、故障や発火と言った重大な問題の原因となりうる
- 蛍光灯などの一部の製品は60Hz仕様のものを50Hzで運用すると上記の過剰電流による問題が発生したりするが、電動工具といった単にモーターを回す用途ではそれほど重大な問題は発生しにくい
- 本来の製品が持つパワーの70%~80%くらいの出力となる(らしい)
- トリマーに使用するビット径は日本国内で販売されている製品は6mm、米国仕様は1/4インチ(6.35mm)と異なる
輸入に関しての諸注意
購入する事前に私が色々と調べた結果、上記に示したようなメリットとデメリット、そして重大な問題が分かっていました。それらを全て理解した上で自己責任で購入しています。
既にいくつもの米国仕様の電動工具の製品を東日本の50hz環境で数年以上使用していますが、今まで一度も問題なく使用できています。
だからといって、安全性を保証するものではありませんし、リスクを一切理解せずに安易に輸入することはやめたほうがいいと思います。
しかし、きちんと問題点を把握した上で、自己責任で輸入するのであれば、非常に安価に、高性能な電動工具を輸入できるのは魅力です。
あとがき
以前の記事内容の原型がないほどに大幅に加筆・改定しました。
トリマー・ルーターに関して詳しく綴った記事も既にありますが、トリマー単体の紹介記事のこちらはずっと手付かずだったので、ようやく改定できたというところです。。
新しい情報もかなり付け加えたので、トリマーの魅力と同じくらい注意点についても、より詳細な記事になったと思います。
参考になれば幸いです。
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